製作日記

0から始めるボードゲーム製作:準備編

渚くじらです。今更ですが、初出展したゲームマーケット2018秋についての記事です。

今回、ボードゲームができるまでの過程を「0から始める人向け」に書いていこうかと思います。いやぁ、やり始めて分かったのですが、経験繋がり全くなしで作る人は少ない…!

 

そんなわけで、ゲーム作ってみたいけど、何したらいいか分からないイメージが湧かないモチベーションが保てないって人は読んでみてもらえると嬉しいです。だいたい4部構成。今とは情勢が違うので、使えること、できないこと両方あるかと思いますが、そこはいつかの時のために参考程度にしていただけると助かります。

 

もっと高みを目指したい人は、2018秋初出展組でもっと為になる記事書いてる人いるから、リンクからたどると良い。(ゲーム名は初出展時)

 

■ 工藤さん/工藤さんのゲーム (DECK THE TACTICS @kudousansan)

■ ふわふわさん/角刈書店 (花と吹雪 @KakugariS)

■ PRAさん/ナトリウムランプゲームス (マサラマジック @PRAPRAPRA)

■ Shindoさん/パティスリージレンマ (カチカンモンスターズ/キリンフォト @ptsrdlm)

 

…ほんとに2018秋初出展組、頭おかしいよね(褒め言葉)

 

さて本題ですが、前半は私についてとか製作のいきさつとか書いてあるので、実際の作業工程が知りたいという方は飛ばしてください。

 

自己紹介

知らない人も多いと思うので、まず自己紹介から。

渚くじらといいます。「くじらだま」というサークルでゲームを制作しています。ゲームマーケット2018秋のときに初出展で「CMYK!」を作りました。その後「NEBUTA BEAT」というゲームを作り、幻冬舎さんから出版されました。

 

製作当時1歳後半だった子どもがいます。夫の鯨玉0号が裏方をやってくれています。

 

好きなことはものづくり全般。何でもやるけど熱しやすく冷めやすい。もともとこのサークルではLINEスタンプ作ったり刺繍Tシャツ作ったりしてました。

 

ゲームマーケットに参加者として行ったことは実は1回しかなくて、2018年春が初参加です。3年前くらいから行きたかったんだけど、全部都合が合わなくてね…!(友人結婚式→つわり→出産前→育児→育児 みたいな) 0号は行ってたんだけどね。

くじらさんはアホなので、初めて行ったゲムマで、うおー次は出展するぞー!ってなったわけです。

 

ボードゲームを作り始めたきっかけ

実は数年前に1回ボドゲ製作熱が上がった時期がありました。そもそもボードゲームを始めたのが2015年くらいなので、その頃ですね。なにかやると作りたくなる単純脳みそ。

その時はこんな感じでどうじゃろ!?って適当な紙に書いて作ってみたのですが、まー、面白くなかった。まだボードゲームも数個しかやったことなかったので、「面白さ」の知識の幅が狭かったんですね。システム的な理解も甘かったですし。(今も理解しているとは言えない)

その頃のメモはノートに書いてあるので、いつか形にしてみたいとは思ってます。

 

で、その後忙しかったのもあって、いったんはボードゲーム製作をやめてましたが、再燃したのが2018年5月(遅っ!!)

子どもを保育園に預けたことで精神的余裕ができて、何か作りたい欲が復活し始めたころでした。

個人的な感想になりますが、創作関係はMP消費なので、仕事してても保育園に預けた方が遥かにラク!!体力残っててもまったく作る気が起きないんだ…

 

直接の引き金となったのは、ボードゲームグランプリです。「住」をテーマにしたボードゲームの公募で、それに応募するために何かを作ってみようと製作を開始しました。これが思いの外、ちゃんとできた(自画自賛)

もちろん初めての作品ですし、テストプレイも数回しかやってないので無事選外となったわけですが、このときの「なにこれ楽しい」感がきっかけとなって、本格的にボードゲームを作り始めました。

 

…このときはまだ↑でできたゲームを出せばいいやと思ってたんですけどねー(´・ω・`)
その話はまた後ほど。

 

準備編

さて、ここからが本番です。ただ一口にゲームを作ると言っても、段階はいくつかあります。

 

目標は何か

作り始めるきっかけは色々だと思いますが、作ってどうしたいか?少し考えてみましょう。

 

  • 自分が欲しいものを作ったから自分さえ楽しめればいい、ついでにちょっと売れたら嬉しい
  • たくさん数を売りたい
  • たくさん利益を出したい
  • 刺さる人に刺さってくれたらいい
  • そこそこ売ってちょっと利益が出たらいいな
  • インストしたい、目の前で自分のゲームをプレイして欲しい
  • 感想が欲しい
  • 世界観を作りたい
  • たくさんは売れなくてもいいけど、まったく売れないのは嫌だ

 

……などなど。どこを目標にするかでアプローチのしかたは変わってきます。

たくさん数が出ることのメリットは、認知される機会が増えるいうことです。知名度が上がると、次回以降宣伝が少しラクになります。
まぁこれも、続けてやっていかないと意味がなくて、わりとすぐ忘れられます。みんなだって知り合いじゃない人のバズツイが誰かなんて3ヶ月後覚えてないでしょ?ずっと観察してるわけじゃないでしょ?そういうことです。

発表するだけで「この人の作品だ、うおおぉぉ来たぞー!」って注目されるのは、もっとずっと先の話です。それかよっぽど特異な作品出しているか。

 

利益を出すことのメリットは、次回作が作りやすくなることです。金持ちの道楽でもない限り、資金には限りはあるので、継続してやるつもりがあるならばある程度利益を出さないといけません。少なくとも黒字にはしないと辛い。(自分が)

 

うちの目標は

  • 自分がやりたい!と思えるクオリティのパッケージのものを作る
  • ある程度数を出す

数を出す、を選んだのは、数を出さないとパッケージのクオリティが上がらなかったからです。印刷物の価格の話は後でしますが、数を倍にしたからといって値段が倍になるわけではありません。そこが数量を決める時の難しいところ。

サークルの知名度を上げるとかはまったく考えなかったですね。それがその後のゲームの傾向にも表れています。うん、統一感ないね。

 

どこで頒布するか

身内で数個作るとかでない限り、頒布することを目指している人が大半だと思いますが、問題はどこで頒布するか

選択肢はいくつかありますが、メインとなるのはゲームマーケットですかね。アナログゲーム系で国内最大のイベントです。メリットは来場者が多い。ボードゲームに興味がある人ばかりなので、宣伝のしかたを間違えなければ、一定数見てくれる人がいます。ただし、近年参加者が増えていることもあり、ただ待っているだけでは目に留まりません。埋もれていきます。昨今のボードゲームブームによって家族連れも増えています。

 

すでにコミケへの出展経験があって、ある程度知名度がある場合は、コミケも選択肢としてありだと思います。ただ、コミケで売れるものはゲムマで売れるものとは傾向が違うと思っています。具体的には人狼系、かわいい女の子のイラストが書いてあるもの、ネタ系は売れる印象。

 

近年は地方イベントも盛り上がっています。特にその地域に住んでいる人にとっては非常に出展しやすいと思いますので、検討に入れたいところ。かなり遠くまで遠征する人たちもいますけど、初出展でやるのは結構勇気がいると私は思ってます。

 

私はずっと「ゲムマに応募するとゲームができる」説を唱え続けてるのですが、応募するとできるってのは割と真理で、締切ができると一気に進みます。というか進めないといけない。

締切がなくてもできる人はいいですが、締切を設定しないと往々にしてゲームができないパターンが多いので、とりあえず応募しとくのが得策です。さあ、応募するんだ!

特に初出展者は、とにかくゲームを出すことが大切です。クオリティを上げようなんてやってたら、一生出ないぞ!

 

まぁそれでもボードゲームの締切は他の同人に比べて早いので、できるなら余裕もって完成させた方がいいです。じゃないと後半死ぬ!!感覚としては2ヶ月前には入稿しないと間に合わないです。カードだけとかだったらもう少し余裕あるかもしれませんが。

 

 

また、昨今のコロナの情勢もあって、即売会に依存しない頒布のしかたというのも模索されています。具体的にはボードゲーム取扱店への委託や、通販、オンラインイベントなど

これはねー、本当に難しい。即売会のように時期が合えば、調べる方もアンテナを立てているので引っかかるのですが、いつくるか分からない情報は集めてないと分からないんですよね……どうしたらいいのか、私にも教えてほしい。やり方が分からないので、ネタツイに走るという手段に出るのですが(悪い癖)

 

どういったクオリティのものを作りたいか

ボードゲーム制作にはお金がかかります。同人誌の比ではないです。少しコンポーネントを足すだけで、軽く数十万と出ていきます。また、クオリティは後のちの日程に大きく影響が出てきます。印刷所に頼めばそれだけ時間がかかります。

 

近年のボードゲームはどんどんクオリティが上がっていて、それに苦言を呈する人もいます。見た目だけよくなって、ゲームの中身はどうなんだと。この議論は何回も繰り返されてますね。

でもコンポーネントも体験です。素敵なコンポーネントを見てテンションあがること、あるでしょ?

 

システムを追求して、コアな層に届ける、口コミで広げてく、それもひとつ。少部数で手作りで凝ったもの、それもひとつ。

作る側はそれを選ぶことができます。選ぶ権利があります。

 

ただ、その方向性は自分ではっきり持っておいた方がいいです。でないと「こんなはずじゃなかった…」となる可能性があります。自分の目標と照らし合わせてください。

 

私はモノとしてしっかりしたものが手元に欲しかったので、印刷所での作成を選びました。

 

事前計画

頒布する場所、作成方法が決まった段階で、その時点で分かる範囲で計画を立てました。ざっくりとこんな感じです。

  • ゲムマの申し込み(~7/9)
  • 予算編成
  • 見積依頼、業者の選定
  • ルールの精査
  • アートワークの方針決定
  • アートワーク作成
  • 発注
  • 説明書作成
  • 校正
  • 販売価格決定
  • 英語ルール作成
  • ゲムマブログ更新
  • カタログ用カット(9/13)
  • のぼり、テーブル布、スタンド用意
  • 価格ポップ作成
  • 予約フォーム作成、告知
  • 梱包
  • テストプレイ会(試遊会)参加
  • 搬入経路確認
  • 駐車場予約
  • 本番(11/24,25)

 

すごーく雑な個人的メモです。ゲームそのものに関することゲームの印刷物や物に関すること宣伝関係黄色事務処理。細かくは少し変わった部分もありますが、おおよそ変更はありませんでした。詳細については、別な項目で話します。

その他に後日追加したものが以下です。全部宣伝関係。

 

  • メールアドレス取得
  • 名刺作成
  • ドメイン取得
  • サーバレンタル
  • ホームページ制作
  • ボドゲーマ登録
  • BGG登録

 

ホームページ制作は結局このときは間に合わず、2019春の時に作りました。ドメインとサーバはこのときやるにはやったんですが、ちょっと別な目的の方があったので(ブログの移行)、まあ早めで良かったのかな。

 

ざっくり書き出しただけでもこれだけあります。どこまでやるかってのは人それぞれだと思いますが(特に追加分はやらなくてもよい)、最低限やらなきゃいけないことだけでも計画的にこなさないと、後半の入稿ラッシュで死にます。ぶっちゃけ宣伝とかやってる場合ではないです。私は死にました。

……まぁ、アートを入稿まですべて外注して、宣伝用の画像もポスターも作ってもらえるならその分の手間はなくなりますけどね。

CMYK!の時はメインアートを友人に頼んだんですけど、友人の仕事が忙しくて待てど暮らせどデータが上がって来ず、締切1週間overで途中までのデータを回収してこちらで仕上げる、みたいなことをやってたんですよね。カードとか結局、仮案もらって、私の方で色変更いくつか作って最終視認テストしたんじゃなかったかな。いやほんとゲーム出ないかと思ったわ。今だから言えるけどね!

 

いろいろを鑑みると、3ヶ月前にはある程度ゲームが形になっていないとダメですね。中には直前にぶっこんでくる人もいますが、それはある程度知名度のある人のやることです!初出展の人は真似してはいけません!!落とすぞ!!!

初出展はだいたい初作品なのです。2回目以降は過去作があるから、仮に落としても売るものある場合が多いんですけど、初出展で落とすと売るものがなくなってしまうのです。ゲムマは申し込んで当日出ないとペナルティがあるので、本当に注意してください。

 

 

さて、次の章は実際にゲームを作る場合の作り方の話です。

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