製作日記

ひとり用ゲームを研究する

この記事は、Board Game Design Advent Calendar 2022の13日目の記事として書いています。他にもたくさん良記事がありますので、ぜひ読んでみてください!

はじめての方へちょっとだけ自己紹介。

くじらだまと申します。2018年よりボードゲームを制作しています。
ラッセーラゲーム」などを作りました。最近は午後のお茶会をコンセプトにした「アフタヌーンシリーズ」を展開しています。記事にしたりしているので、気になる方はこちらもお読みくださいませ。

さて、今回はひとり用ゲームについて、いろいろと考えていこうと思います。
特に結論が出ないやつです。研究と言いながらそんなに研究はしていない。

きっかけ

のざくにさんが進めている1人用ダンジョンゲーム企画「ソロダンProject」というものがあります。せっかくなのでそれに参加してみようかなと思ったのがきっかけでした。お祭りには参加する主義。全然構想なかったけどね!

でも1人用ゲームを作ったことがないので、とりあえず調べるところから始めようって算段です。

といってもアナログゲームの方はやらないです。知ってる人はだいたい知ってるでしょ。ということでデジタルゲームについて調べます。

なんでデジタルゲームなのかといえば、デジタルの方が圧倒的に1人用が多いからです。そしてデジタルでできるならデジタルでやりゃいいじゃん、っていう身も蓋もない話。アナログの優位性を知っておきたかったからですね。

基本的に私はデジタルゲーム好きなのでデジタルで実装できるならそれでいいと思ってる派です。複雑なことできるし、説明書読まなくていいし。これだけアナログゲーム作っておきながらなんですけど。
でもTCGがある程度継続しているので、アナログの方がいいって部分もあると思うんですよね。デジタル出てますけど……

あと、最近ボードゲームで再現できそうなデジタルゲームが増えたからってのもあります。

ゲーム調査

ソリティア

クロンダイクとかピラミッドとかフリーセルとか。しょっぱなそれかよって声も聞こえてきそうですが。ソリティアこそボードゲーム(カードゲーム?)に近しいデジタルゲームだと思います。というかコンピュータができる前は普通にトランプでやってたよね。

ソリティアってのは1人用ゲームのことで、Windowsの標準で入ってるゲームは本来クロンダイクです。混同しがち。ややこしい名前をつけるな。

昔ソリティアゲームがたくさん入った「トランプワールド」ってゲームがPCに入ってて、めちゃくちゃやりました。MacのOSがXになったときにできなくなって、ちょっと悲しかった。

ちなみにFF6のセッツァーの趣味がソリティアです。

話が逸れた。

ソリティアは惰性でできる。惰性でしかない。でもやる。なんでだ。クリアできないことも多いけど、できたらできたで嬉しい。そんなゲーム。考えていないわけではないけど、そこまで脳の負荷が高いわけでもない。まぁゲームによりますが。
ぶっちゃけ物理でやると結構めんどくさい動きが結構あります。山札を全部動かすとか。

さて、次。

Slay the Spire

デッキ構築ローグライクの駆け出しみたいな作品。カードを途中で手に入れてデッキを強化していき、敵と戦っていく。

この形式のゲームはこれ以降めちゃくちゃ増えた気がします。それくらい流行った。

初期デッキから強くなるまで結構時間がかかるので、アナログでやろうと思ったら構築のところをもっと短時間でやれるようにしないといけないと思います。問題点については後述。

あと圧縮はできる手が限られてるので、ドミニオンみたいにめちゃくちゃ圧縮する引き切りデッキみたいなのは難しそうです。アイテム使えばできなくはないのかな。カードそのものを強くする手段があるから、捨てなくても強くはなります。

次。

Dicey Dungeons

ダイス目を使ったローグライク。プレイヤーはダイスを振り、そのダイスを使ってカードの効果を使っていきます。カードによって置けるダイスが偶数だったり4以下だったり。

Slay the Spireの亜種として考えてもよいと思います。カードの強化やデッキの作り方はかなり近いですね。でもそこにダイスが加わることによって、主眼がダイス操作に移っています。ダイス目操作はどう転んでも楽しいし、ダイス目がどうなってもいいように組み上げられたりコンボできたりすると、やった感が得られます。やった感、ゲーム作りにおいてこれすごく大事。

ダイス数や初期カードはキャラクターによって違くて、操作の方針も特徴があり、それによってプレイ感覚も変わります。

本当はもっといろんなゲームをやりたかったんですが、時間がなかったので、とりあえずこんなところで。

ローグライクをアナログで実装するときの難点

ローグライクをローグライクたらしめてる要素ってランダム生成だと思うのですが、

  • ダンジョンをランダム生成
  • 敵をランダム生成

この「敵をランダム生成」がアナログでやろうとすると厄介で、その分の敵データをカードなりなんなりで持たないといけない。そうするとグルームヘイヴン並み……とまではいかなくても、そこそこのコンポーネントを用意する必要があるかもしれないんですよね。

それから状態異常のようなステータス管理もなかなか大変で、1個ずつ覚えておかないといけないし、都度都度チェックしないといけないんですよ。勝手にやってくれるデジタルと違って手動でやらなきゃいけないんで、ミスも増える。

パターンを増やすのが、デジタルほど容易ではないんですよね……ものが増えるって意味でも。だったらダンジョンと敵をギュッとまとめちゃえばいいって話なんですが、構築を短時間で、ダンジョン生成をコンパクトにっていうとそれはローグライクなのか……?っていう。要するに、最近の流行りのような成長させていくデッキ構築ローグライクをアナログに落とし込みたかったら、それなりにものが必要になりますよってことです。1人用ゲームでそこまでやる……?デジタルでいいじゃん(ケンカを売るな)

まぁちょっと方向性を変えたほうがいいな、と感じたって話です。

続けたくなる要素

1人用ゲームはある程度の難易度が必要になってくると思います。それは1回で終わらせないため。あまり悩まないで簡単にクリアできてしまったら、適当にやってもクリアできてしまうし。それって考える必要がないし。
では負けたとしても「もう一回」とやりたくなるためにはどうしたらよいか。

めちゃくちゃ思考する

パズルのように組み合わせてコンボを作る。ランダム要素も加味してギリギリ感を楽しむ。運が絡みつつ少しずつうまくなっている感覚が味わえると続けたくなります。

手癖でできる

手癖っていっても、本当になんにも考えてないわけではないです。ただの作業ではなく、適度な思考が必要。

後者のようなゲームを作るのすごく難しいんですが、何回もやってもらうためには、目指すべきは実は後者なんじゃないかと思ったり。慣れてくると徐々に前者から後者へ移行してきますね。その過程を辿れたら万々歳、もう何も言うことはないです。

ひとりで振るダイスは楽しいか?

……って言ったら、「ひとりで桃鉄やってる人に謝れ」って言われた。そんなこといったって、あれコンピュータと戦ってるじゃん。ひとりでダイス振って全国旅するだけだったら万人受けしないと思うよ。

個人的にはダイスの面白さって、反応から来るところが半分くらいあると考えていて。そのランダム性が盛り上がるかどうかって周りの人に依存するところがあると思っています。

半分は言いすぎたかも、1/3くらい。

だから周りの反応がない、他に振ってる人もいない状況で振るダイスは、面白さへの寄与が少し減る。カードなど他の方法でランダム性を作るのと大差なくなっちゃうんですね。

これが、「ダイス操作」という要素が加わると、そのダイス目に一喜一憂するところからそれをどうするかに感情が変わって、ランダム要素はランダム要素なんだけど捉え方がガラッと変わる。この辺面白いなって思います。

ルール通りに遊ばせるのが難しい

これは実際に作ってみての感想なんですけど。

ルール通りに完璧に遊ぶのは、インスト者がいてすら難しい。まぁ私がまだ曖昧な状態でテストしたせいでもあるんですが。

2人以上のゲームだと多少ルールが間違っていても、その人たちの中で不平等が起きていなければそのまま進行しても問題なかったりするんですよね。協力ゲームだとちょっと違いますが、まぁ複数人で楽しんでる時点で遊びとしては成立しているし、複数人いればミスに気づく確率も上がりますし。

それに対して1人用ゲームってのは自分との戦いになるので、クリアできるかどうかにルールの正しさがとても大きく作用してしまう。

なので、1人用ゲームはとにかくルールを「直感的」にする、ミスが起こりやすいところを排除する必要があると感じました。複数人がミスするところは絶対変えたほうがいい、絶対にだ。

正しく遊ばせるなら、デジタルの方がラクなんですよね。どっちが良い悪いじゃなくて、ラク。道筋をつけたり制限かけたりすればいいんだもの。私は麻雀はデジタルじゃないと遊べません。出せるかどうか判断してくれるしね。

じゃあアナログの利点って何よ?

持っていたい欲では……?(暴論)

そこに結論を持っていっていいのかって話ですが、最終最後、「ものとして持っていたい」が一番わかりやすい。ほら、積みゲーと一緒。最悪そこにゲーム性がなくても、「所持したい」は成立する。

……めちゃくちゃ怒られそうだな。

マジックザギャザリングくらい文字が多いと、紙の方がやりやすいかもしれない。並べてカード見られるからね。でもSlay the Spireくらいの文字量なら、意外と問題なく見られた。

MtGは通常対戦なので、ひとり回しを考えるけれど、紙でやってもデジタルでやってもゲーム性は変わらない。でも紙でやりたい人がいる。それはカードを触りたい、持っていたい、その空間が好き、なのでは……?

まぁそこまで極端なことを言わなくても、アナログでやりたいって思える空間作りが大切なんじゃないかなって思いました。それはシャッフルする感覚だったり、駒だったり、イラストだったり、見やすさだったり、流れる時間だったり……ルールがそれを演出できたらいいんじゃないかなぁって。

ゲームの作り方とは別の話になったな。

だんだんまとまりがなくなってきたので、この辺で締めておきます。みんなも作ろう、ひとり用ゲーム!