製作日記

0から始めるボードゲーム製作:製品編

くじらだまの渚くじらです。0から始める人向け記事、第3回です。

前回までの記事はこちら

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0から始めるボードゲーム製作:ゲームシステム編くじらだまの渚くじらです。ボードゲームの制作を「0から始める人向け」の記事、2回目です。 前回の記事はこちら https:/...

 

今回は印刷の話などです。ちょいちょいTwitter上で「こういうのを作りたいんだけどどうしたらいいか分からない!!」と言ってる人を見かけるのですが、初めて作る人で分からない人いっぱいいるんだろうなーと。私もそうでした。めちゃくちゃ調べました。

なので、そういった人の参考になれば嬉しいです。

 

そもそも印刷所で印刷するのか?

そもそも。印刷、するの?って話。

印刷しない選択肢ってあるの?って思った方。その反応は正しい。

私はよく、2018秋初出展組の曹角遊鯨(ナトリウムランプゲームス、角刈書店、アソビツクース、くじらだま)で遊んだり共同出展したりしているのですが、みんな作り方がやべぇんだよなぁ……

 

  • スパイスの香料を煮出したり、シルク印刷したり(ナトリウムランプゲームス)
  • 初出展で海外で1000部印刷したり(角刈書店)
  • レーザーカッターでミリ単位の切り込み調整をしたり、木材染めたり(アソビツクース)

 

普通じゃないんだよなぁ……狂気しか感じないんだよなぁ……

そういう意味ではうちはかなり普通の作り方をしていると思っていますので、安心してほしい。作り方という意味では。(作っているものが普通とは言っていない)

まぁ印刷しないでも作り方は色々あるってことです。特に駒類は自作してる人も多いです。

 

部数を決めよう

部数決めって一番労力を使うと思ってるし、いまだに悩む部分なのですが。

印刷物っていうのは金額が線形で上がっていくものではないんですね。100部刷ったときと200部刷ったときの値段が倍になるわけではない。

つまり単価が安くなるんですよね。そんなに変わるの?ってくらい安くなる。

……じゃあいっぱい刷ったほうがいいじゃんって思うでしょ?

でも全体の金額は上がってるからね。売れなかったらその分の損失でかくなるからね。単純に。

初出展でどれくらい刷るの問題はもう毎度毎度話題に上がってはTwitter上で言い合いになって消えていくということを繰り返しているので、あえて言及はしませんが、まぁそれくらい難しい問題ってことです。特にコロナ下では今までの判断も参考にならなかったり。

実際の印刷部数については、印刷の見積をもらってから決めてもいいと思います。CMYK!のときは見積見てから刷る量上げた。

 

あとこれは言っておきますが。

すべて手作業でできるのは30~40部!!100とかやめろ!!!死ぬぞ!!!!

 

印刷所を決めよう

印刷所にも色々種類があり、すべてをやってくれるところもあれば、箱だけ、カードだけ受け付けているところもあります。

ちなみにタイルを印刷できるところは非常に少ないです。同人誌の感覚でいるとその少なさにびっくりすると思う。部数が上がるともう少し範囲は広がりますが。

あと実は高いのは丁合作業。カードをそろえて箱詰めする作業。この作業を自分でやると、だいぶ単価が下がります(ただし精神は死ぬ)。うちはかなり手作業でやっています。

ボードゲーム総合

盤上遊戯製作所(BGM)

名古屋の紙屋さん。「CMYK!」のタイルと箱印刷はこちらに頼みました。品質がとても良いのと、価格が提示されているのでわかりやすい。変形タイルもやってくれる。あとTwitterで紹介してくれたりする。
今は200部からの受付かな?相談すれば100部でもやってくれるかもですが。

 

萬印堂

型の種類が多い。小ロット応援パックがめちゃくちゃ安いので、その仕様に合う場合はまず検討してみるといいと思います。
早割の締め切りが早いのと、納品がかなりギリギリだったという話がある。スケジュールには余裕をもつべし。

 

タチキタプリント

こちらも見積機能あり。駒のタチキタにあるものを一緒に注文できるので、タイルもボードも駒もあるよ!みたいなときはとてもよい。使っている人も多め。

 

コネクトブリッジ

あまり使っている人を私は知らないのですが、自由配置の抜きタイルもやっている模様。価格帯は不明(カードゲームセットのところに例は書いてあります)。

 

富綱印刷

台湾の会社さん。印刷ロットが500からなので、最初の候補には上がらないかもしれないですが一応。「チクタクオーダー」はここで印刷しています。
空輸なので海外なのに納期は早い。何より日本語で対応してくれる!!

 

他にもたくさんあると思いますが、私はまだ開拓できていない!特に中国はたっくさん印刷所があります。いいところも悪いところもたっくさん。サンプルと質が違かったとかー。できると言ってたのにできなかったとかー。いつまでたっても届かないとかー。噂は色々聞くけれど、いずれにせよ国内でやる感覚では失敗するので注意してください。コロナのせいで送料がめちゃくちゃ高くなったっていう話。

 

箱は貼箱と抜き型箱とあります。ナンジャモンジャは抜き箱。

貼箱の方が厚みがあり、しっかりしています。ズシッとくる重さのものは貼箱のがいいです。あとエンボスとかニス加工とかできる。抜き型の場合、箱型にしておかなくていいので場所をとらないのがよいです。必要なときに必要なだけ組み立てる。

箱は内容物の中でも価格的にそこそこ高い割合を占める上に、最初に目に入ってくる部分でもあるので、どこまでこだわるかは悩みどころですね。お菓子のパッケージを作ってるところはたくさんあるので、そういうところを探してみてもいいかもしれません。ただボードゲームはお菓子よりかなり重さがあるので、強度に注意(紙重いのよ)。あと少部数だと抜き型は思ったより安くない。

パックスエム

「NEBUTA BEAT」と「空中都市アーレア」の箱を作ってもらいました。使った加工はエンボスのみ。エンボスだけでもだいぶしっかりしていて、傷つきにくいです。型なしで寸法指定ができる。500部以上だと型を作ったほうが安くなることが多いらしい。
ちゃきちゃき対応してくれるのでとても助かります。

 

ポプルス

貼箱なのですが、貼りがオプションになってるので、そこを手作業でやるなら安い。上手な糊の貼り方ってあるのかなぁ。私は絶対失敗する自信がある。

 

カード

カード印刷として私が入稿したことがあるところを紹介します。加工や厚さを問わなければ名刺印刷でも可能。名刺印刷ならできるところはたくさんある(角丸オプションを入れられるところもある)。

カードだけならわりと短納期でできるところも多いので、入稿を後回しにされがち。でも丁合があるからね(ー_ー;)

アドプリント

安い。CMYK!とNEBUTA BEATはここで印刷。マットの質感はよい。
送られてくるときの包装が大変心もとない感じで傷やカスレも多めなので、検品が死ぬほど大変。特に色が濃いと目立つ。うちが弾きすぎなのかもしれないけど。でも安い。

 

プレス・トーク ダイレクト

指定範囲内ならサイズの変更が可能。空中都市アーレアのカードはここです。
印刷部が少し盛り上がる?感じがある。検品で弾くことは非常に少なかったです。

 

紙類

単純に紙の印刷です。やってるところはいっぱいあるので、特に紹介する必要もないんですが、まぁよく使うネット印刷を。安く済ますなら、ボードを厚めの紙印刷にするのはアリです。アズール シントラの得点ボードも紙。

プリントパック

安いし早い。ときどきトラブる(うちは巻き込まれたことはない)。
説明書類はだいたいプリントパックで印刷しています。「CMYK!」の初版は3枚印刷して折って家でホチキスで止めていたのですが、恐ろしくめんどくさいので、最近はZ折オプションで印刷して、それを半分に手折りして6つ折りにする方法をとることが多いです。オプション料金1000円前後なので(三つ折り大変)。

 

グラフィック

質がよくて安定している印象。箔とかUVニスとかホログラムとか、そういった加工がしやすい。「空中都市アーレア」の得点ボードは、A・B判カード印刷のコート400kg PP加工。厚こくてツルツルしててとてもよいです。薄めのボードとして十分耐えうる。
カードとかも頼めばやってくれるんじゃないかな。

 

パーツ類

ダイス、駒、パウチ、その他もろもろ。印刷費と違ってパーツ数がそのまま費用にかかってくるもの(送料除く)。必要なときに追加すればいいやと思ってたら取り扱いがなくなったりするので注意。

100円ショップ

ダイソーとかセリアとか。ボードゲーマー御用達。なんたって安い。行くだけでゲームのアイディアが浮かんだりするので、ぐるっと見て回るだけで価値がある。ガラスタイルがよくトークンとして使われています。
カードや駒を入れておく袋をよく買います。これがあると丁合の分割ができるし、プレイヤーも保管に便利。

駒のタチキタ

上のタチキタプリントのところで少し触れましたが、駒だけで購入も可能。たまにセールをしていて、ポーンなどを安く仕入れることができたりする。何か使う予定があるのであれば確保しておいてもよい。ただし色が通常のカラーと違うことがあるので、セール品と同じものは再度手に入れることはできない可能性がある(通常色のセールもある)。

 

シュピールマテリアル

木製のダイスから見たことのある駒まで、本場ドイツの質の良いコンポーネントが購入可能。使うだけでちょっとリッチな見た目になる。日本への発送もそんなに高くない。
すごくざっくりと送られてくるらしく、乱丁あったらそれで対応してね!ってことらしい。たまに送られてくる色が間違ってたりする。スケジュールの余裕は必要。木のコンポーネントが必要なときはぜひ。

 

アリエクスプレス

中国の通販サイト。意外と普通の通販と同じように利用できる。楽天のように複数の店が集まってできているサイトなので、同じ(と思われる)ものがたくさんある。写真と同じかどうかははっきりいって分からないので、1つ取り寄せてみてから大量購入した方がいい。
検索は英語でやった方がたくさん出てくる。

 

パンダホール

こちらも中国のサイト。手芸用品屋さんですが、ボードゲームで使えそうなものも多い。元がビーズなので穴が空いているものが多いです。それが許せるなら候補としてはいいかと。

 

あとは駒に使えるものとしては、お祭りの縁日などにあるアクリルアイスですね。楽天市場やAmazonでも取り扱いがありますし、専門店から仕入れることも可能。可愛い形のものがたくさんあります。複数の色が混ざってることが多いので、特定の色だけ欲しい場合は難しいかも。

 

自作するときに使えるもの

自作勢もある程度いるので、そのときに使えるものもいくつか。私は使いません、使いません!!(強い意志)

ペーパーカッター

カードやボードのカットで使う。ボードゲームの場合、厚さのあるものを切れることが重要。重ねて切るとズレるので、あまりやらないのかな。

かどまる

ボドゲ製作者御用達。これで角丸してる人は意外と多い。やってると手が痛くなってくるらしい。

3Dプリンター

ここまで行くと自作上級者。でも意外とボドゲ製作者持ってるんだよなぁ……なんでだろうなぁ……
3DプリンターやレーザーカッターはFab施設で使用できたりするので、近くにそういった場所がある場合は利用するのもよいかも。

 

あとはプラスチックを一斗缶で煮出して色染めたりしてる人いましたけど……簡単に真似できることではないので(めちゃくちゃ臭いらしいです)。

 

自作の道は極めればどこまでもいけるんですけど、時間もかかるので、妥協も必要です。

 

 

さて次は宣伝の話です。